第 七 章



意識U


【あなたは脳でも遺伝子でもありません】

 今回は、あなたとあなたの身体との関係について、一緒に考えてみましょう。
 「あなたは脳ではありません。また心臓でもありません。あなたとは、あなたという意識そのものです。」という意味を前回に引き続き、ここでもう一度理解しておいてください。あなたの身体は、自然からの借り物なのです。その証拠にあなたの身体は、地球上の30種類以上の元素からできています。その90%は酸素と炭素と水素です。
 酸素(O)炭素(C)水素(H)をある形に組合せてみると、H2OとCO2になります。つまり、水と炭酸ガスになります。逆に、水と炭酸ガスの組合せを変えてみると、私達の身体の90%が出来上がるということにもなります。考えてみれば、あたりまえのようですが、実に不思議なことです。
 では、なぜ水や炭酸ガスのときは【あなた】ではなくて、人間の身体に形を変えた時に、【あなた】になるのでしょう?
 現代の科学では、それは遺伝子(DNA)があるからだということになるのでしょう。しかし、そのDNAも、窒素や水素などから構成されているのです。だから科学者は遺伝子の情報(ゲノム)が生命だと言っています。つまり私達は、遺伝子そのものなのでしょうか?
 「あなたは遺伝子ですよ」といわれて喜びを感じますか、また自分に自信がもてるでしょうか?


【体には生命場がある】

 ところが、最近、遺伝子だけでは説明のつかないものがでてきました。
たとえば、ある細胞が、遺伝子によって方向性が決められたら、細胞の運命は決まると考えられていましたが、遺伝子によって方向性が決められた後でも環境を変えてやると、別のものに変わるということがわかってきました。つまり、遺伝子の命令以外の力があるということになります。
 そのことから、『身体には【場】というものがあって、【場】が細胞に影響を与えている』と考える科学者が増えてきたのです。そのなかでも、元米国イエール大学医学部解剖学教授ハロルド・サクストン・バー(一九七三年没)は、『生命場(ライフ・フィールド)』といって、身体のなかには、【生命の鋳型】があるのだと言っています。
生命の鋳型とは、たとえばデザートのゼリーをつくろうとするとき、ゼリーの鋳型を見るだけで、どのようなものが出来上がるのか、実際につくらなくともおよそ見当がつくのだということと、同じようなものなのです。
 博士はいろんな実験によってこれを証明しています。興味のあるかたは「日本教文社の生命場の科学」を参照してください。


【生命場とは目的意識体のこと】

 ここで、前回の【場】の説明を思い出して下さい。
 【場】は一つの意識体だと説明しました。そしてその意識体も、大きな意識の中の一つなのだと言いました。このことを、あなたの身体で説明しますと、どうなるのでしょう。
 あなたの身体の細胞は、一つ一つの【場】です。ということは、あなたの身体の細胞の一つ一つには、【意識】があるということになるのです。そして、その細胞が集まって、心臓や肝臓や肺、また血管や骨や皮膚といった、それぞれの意識体をつくっています。またその意識体が、それぞれ関連しあって、指や腕や足、それに呼吸器系や消化吸収器系や神経伝達系等の、それぞれの意識体をつくっています。そしてその全ての意識体を統括しているのが、『あなたの意識』なのです。
 なにか意識体というと、人間と同じような、好き勝手な意識があるように思われますが、そうではありません。心臓には、心臓の目的意識があり、肝臓には肝臓の、肺には肺の目的意識があるということです。そして、いくつかの意識体が関連しあって、また一つの目的意識体をつくりあげます。つまり、【鼻】の目的意識体と、【気道】の目的意識体と、【肺】の目的意識体が関連しあって、【呼吸器系】の目的意識体が出来るのだという意味です。
 このようにして最後は、身体全体の目的意識体ができあがるのです。
 この身体全体の目的意識は、身体を調和しようというだけの目的で、このことを身体のホメオスタシス(恒常性)というのです。しかし、その目的も、結局はあなたの意識に影響されるのです。
 「じゃあ、遺伝子はどうなったんだ」と言われそうですが、遺伝子は設計図と考えてみてください。
設計図はひとりでにうごきません。だれかが組み立てないとだめなのです。DNAもRNAも意識体がないと意味をなさないということです。
 「ではその意識体とは、どんな形をしているんだ?」という疑問が湧いてくると思います。


【病は気から】のメカニズム

 ハロルド・サクストン・バー博士は、その意識体のことを【生命の鋳型】と表現しているのです。鋳型とは目にみえない空間のことです。つまり、エネルギーの心臓の鋳型があり、エネルギーの肝臓の鋳型があるといったように、人間には物質の身体以外に、エネルギーの身体があるということになります。
 このエネルギーのことを中国では、【気】と呼ぶのです。そして、身体中の鋳型に【気】を運んでいく通り道を、【経絡】とよんでいます。またエネルギーの身体と、自然のエネルギーとの間の出入口を、【経穴(ツボ)】とよんでいるのです。
 ではここで、【病気】というのは、どのようにしておこるのか、考えてみましょう。
 さきほどお話しした、デザートのゼリーをつくろうとする時に、ゼリーの鋳型に穴があいていたり、歪んでいたらどうでしょう。当然出来上がったゼリーの形にも影響するでしょう。
 これを身体にあてはめると、よくわかっていただけると思います。
 病気とは、身体の中の【生命の鋳型】が弱っているのです。いいかえると、【気】が病んでいるのです。この鋳型に気を流してやると、病気はよくなるということです。「ああ、なるほどそういう意味なのか」と理屈では納得しても、これでは、具体的な説明にはなっていません。
 では、どうして生命の鋳型が弱ってくるのか、また、どのようにして【気】を生命の鋳型に取り入れて、日々健康に過ごしていけばいいのか?
 以下もう少しわかりやすく説明していきましょう。


【楽しい目的意識は生命源】

 「さて、あなたの今までの人生のなかで、一番元気で、一番充実していたのはいつですか?」と聞かれたらどうでしょう。なかには、「ふりかえってみても、これといって特別に元気で充実していたことなどはありません。」と言われる方がおられるかもしれませんが、子供のときの、明日遠足だという前の日なんかどうでしたか?とても充実していて、元気一杯だったでしょう。嬉しくて前日眠れなく、寝不足で遠足に行ったとしても、元気よく行ったという経験はなかったですか?
 ふりかえってみて、元気で充実していたときは、大きな目的意識があった時なのです。それも、楽しい目的意識があった時なのです。ここで言う『楽しい』とは心から喜べる楽しさのことです。そして、楽しい目的意識を持つと、大自然から【気(エネルギー)】を吸収するのです。逆に、楽しい目的意識がなくなったら、生命力が衰えるということです。生命力が衰えると、肉体も衰えてくるのです。つまり、楽しい目的意識がなくなったら、心臓には心臓の、肝臓には肝臓のそれぞれの役割を果たそうとする目的意識が、弱ってくるのです。よく、最近はプラス思考をしましょうとか、いつも楽しいことを考えましょうということが言われていますが、それだけではだめです。
 例えば、定年になって、退職金も入り、生活の心配もなく、することのなくなった人に、楽しいことだけ考えて生きなさいといっても難しいのです。公園を散歩してきなさいとか、旅行に行ってきなさいとか、なにか趣味を持ちなさいなどと言われても、心から喜べる楽しい目的意識がないと、生命力は衰えるのです。肉体各部位の目的意識を活性するには、あなたの『楽しい目的意識』がとても重要になってきます。
 ところが世の中、楽しい目的ばかりではありません。生活するために働かなくてはなりません。そのために嫌な仕事もしなくてはいけません。また、会社に入っていい給料を貰うには、たくさん勉強していい大学に入らなくてはなりません。そのためには、嫌な塾にも通わなくてはなりません。
 このように、「〜しなくては」というように、嫌々生活していくとどうなるのでしょう。
 「嫌な○○」という目的意識は、あなたの肉体細胞の目的意識にも、「嫌な○○」という意識を植えつけてしまうのです。その結果、それぞれの肉体器官の目的意識を、少しずつ衰えさせてくるのです。つまり、心臓は心臓の役割を、肝臓は肝臓の役割を嫌がるのです。そうなると、外部から進入してくる病原菌に対する、免疫系統の目的意識も衰えてきて、病気になりやすくなるのです。
 「それじゃ楽しい目的を持って生きてさえいれば、どんな食事をしていても病気にならないの?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。当然、食事も大事です。ところが、美味しいものを、お腹一杯食べたあとのあなたの気持ちはどうでしょう。「ああ苦しい、ちょっと食べ過ぎたかな。」つまり、「ちょっと嫌なことをしたな。」と思ってしまうのです。
 昔から、健康の秘訣は『腹八分目』といいます。それにまた、好き嫌いをして食事をしていたらどうでしょう。あなたの心の底では、「偏食は身体に良くないよ。」と知っているのです。好き嫌いをして食事をすることは、あなたの心の底では「嫌なことをしているな。」と思っていることなのです。
 やはり、好き嫌いなく出された物を喜んで食べることが、健康の秘訣です。
 このように、嫌な目的は、病気をつくりだすということがわかれば、どのようにして嫌な目的を、楽しい目的に変えたらいいのでしょう。昔から『好きこそ物の上手なれ』といいます。


【感謝するという意味】

 ここで、いやな目的を楽しい目的に変えるには、【発想の転換】が必要なのです。
 まずは、【感謝】という言葉をとりあげてみます。「あなたは最近、心から【感謝】したことがありますか?」このように言うと、なにか「宗教じゃないの?」とか、「おしつけの感じがする」といった声が聞こえてきそうです。
 【感謝】という言葉の意義を、あなたともう一度、考え直してみましょう。
私達は昔から、よく両親に感謝しなさいと教えられています。でも最近では、「両親が勝手に結婚して勝手に生んだんだから、どうして感謝しなければいけないの?」というような意見を、よく耳にします。こんな時、大人はよく「せっかく、生命を授かったんだから感謝するのは当然です。」等と、わかったような、わからないような答えを言います。このような説明では、子供たちは、なぜ両親に感謝をしなければいけないのか、納得できないでしょう。
 ところで、あなたは子供の頃、両親にたいして、どのような時に感謝をしましたか?たとえば次のような時ではないですか?「遊園地に連れて行ってもらった」「自分の欲しいものを買ってもらった」「自分の友達が遊びに来たとき、大事にもてなしてもらった」等々、自分にとって、楽しいことをしてもらったときではないですか。このように、実際に楽しいことをしてもらって、本当に楽しいと思わないかぎり【感謝】の心は湧いてこないのです。つまり、楽しい目的が実現しないとだめで、「そのうちに遊園地に連れていってあげるよ。」とか「そのうちに買ってあげるよ。」では、感謝の心が湧いてこないということです。
 仮に、今あなたが、人生に疲れて世の中がいやになり、どんな人も信用できなくなり、生きていくことさえも、嫌になってしまったとしましょう。こんな時でも、あなたは両親に感謝できますか?「ええ、私はどんな時でも、両親には感謝しています。」という方もあるでしよう。ところが、それは音、両親が自分に優しくしてくれた部分を思い出して、その部分に感謝しているのに過ぎないのです。世の中がいやになっているあなたに、「あなたは両親がこの世に生んでくれたことを、心から感謝できますか?」このように聞かれたらどうでしょう。「出来ることなら生んで欲しくなかった」と思うのではありませんか?
 逆に、今あなたは、人生が楽しくてしかたがなく、幸せの毎日を過ごし、この世は天国だと思っているとしましょう。こんな時なら、あなたは両親に生んでくれたことを、心から感謝できるのではないですか?【感謝】とは、楽しい目的が叶って、自分は今幸せなんだと感じない限り、湧いてこない感情なのです。
 ではなぜ、両親に感謝が必要なのかという意味は、「今、自分が幸せなんだ」と思うための【逆療法】なのです。『両親に感謝する』のは、両親の為にするのではなく、自分の為にするのです。このために、昔から『両親に感謝しないものは、幸せにならない』という言い方をするのでしょう。
 結局、【感謝】とは、自分が今『幸せである・楽しい・喜んでいる・満足している』等という思いを、人の為にするのではなく自分の為に強くイメージする事なのです。


感謝の気持ち・報恩の心が病気を治す


【報恩の心は楽しい目的意識の原動力】

 この【感謝】のイメージが充分に出来た時、【報恩】という心が湧いてくるのです。
 『感謝の気持ち』『報恩の心』というと、なにか宗教くさくて、いやだなあと思われるかたがいるかもしれません。ところが、この意味は、自分にとってプラスイメージをすると、宇宙の気が自分に入ってきて、行動力がでてきますよ、ということなのです。『報恩の心』とは、心から感謝したときに、心の中心から湧いてくる生命力なのです。つまり、『報いる行動の原動力』が湧いたという意味なのです。『報いる行動の原動力』とは、『楽しい目的意識の原動力』と同じ意味なのです。
 さて、ここで話をもどします。あなたの肉体細胞に活力を与えるには、あなたが『楽しい目的意識』を持つことだと言いました。そして『楽しい目的意識』を持つには、全てのものに、心からの【感謝】が必要だということも、わかって頂いたと思います。
 昔の人は、このことを自然に知っていたのでしょう。食事をするときは「感謝していただきなさい。」と言っています。そうすると、内臓に活力がみなぎって、消化吸収がスムーズにいくのです。
 とはいっても、人間病気になることがあります。こういう時、どのようなことをすれば、早く治るのでしょう?
 当然あなたは、まずは病院にいって、お医者さんに相談するでしょう。それはとても大事なことだと思います。しかし、すべて、お医者さんにまかせっきりでいいのでしょうか?


【病気のときのイメージ法】

 病気になるには、なるだけの原因があったのです。病気になった時こそ、あなたは、自分でなにかをつかむチャンスなのです。
 ではここで、病気の時に自分に出来ることとは、どんなことなのかを説明していきましょう。

 次のことをよく理解して、病気の時には、必ず実践してみてください。
 @私は自然(宇宙)のはからいに心から感謝できているか?
 A私は両親に心から感謝しているか?
 B私は今与えられた立場役割に心から感謝しているか?
 C私は私の周りの人々に心から感謝して生活しているか?
 D私は私の肉体に心から感謝しているか?
 E私は日々の食べ物に心から感謝して食事をしているか?
 もし以上のなかで、感謝の足りない部分があれば、反省して感謝してみてください。
 そして、そのあとゆっくりと呼吸をしていきます。吐くときは、身体のなかの悪いエネルギーが、口から吐き出されるイメージで吐いてください。吸うときは、鼻から、病気を治してくれる宇宙のエネルギーが、お腹に流れ込むようなイメージで吸ってください。そのあと、自分の病気の部分に、そっと手のひらを当てて、手の届かないときには、自分の意識だけを、その部分にもっていき、肉体の細胞意識と、あなたの意識の交流をはかってください。
 具体的には、あなたは、肉体細胞とお話をするのです。
 まず、弱っている肉体細胞(胃や腸や肝臓などの意識)に、無理をさせてきたことを詫びてください。そして今後、感謝の心で大事にしていくことを誓ってください。そのあと、病気を治してくれる宇宙のエネルギーが、患部に流れ込んでいくイメージをします。そして細胞意識が、生き生きとして、「これからも頑張っていきます」とあなたに喜んで答えているところをイメージしてください。このことを信じて続けてみてください。驚くほどの回復力が見られると思います。
 このように、肉体細胞にも、意識があるとわかってくると、あらゆる問題が理解できてきます。臓器移植の拒絶反応や、プラシーボ効果(偽薬効果といって、偽物の薬でも心理効果で効く効果です。
 たとえば、腕にただの水を、漆ですよと言って塗ると、かぶれることがあります)などは、自分の目的意識が、細胞の目的意識に影響を与えたと考えると、よく理解できます。
 「なるほど、感謝をするのは、プラスイメージをするためで、また自分のためにするものだ、ということはよくわかりましたが、いくら自分のためだといっても、嫌な人に、また嫌な仕事に感謝しろといっても、なかなかできません」と思われるかもしれません。
 では次章は、どういう発想の転換をすれば、感謝できるようになるのかということを、魂は永遠か有限かというテーマを用いて、お話ししていきたいと思います。

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